戦略政策審査局エコノミスト ASONUMA Tamon
IMFを志望した動機
私はBoston大学で経済学博士号(Ph.D. in Economics)を取得し、専門分野が国際マクロ・国際金融でした。研究テーマは対外債務不履行・再編成(Sovereign Default・Debt Restructuring)で実証・理論・定量分析の博士論文(Ph.D. Thesis) を執筆しました。自分の専門分野・研究テーマを基に、以下の政策提言・実務・研究の3つの動機から就職先としてIMFを志望しました。一つ目は債務危機に陥った国に対するIMFの貸付の法律・政策的枠組み(Fund’s Legal and Policy Framework)、並びに、債務危機解決における国際金融システム(International Financial Architecture)に関して政策提言したい点です。二つ目は債務危機・債務再編成の国を担当し、債務危機の解決・債務再編成に貢献したい点です。三つ目は対外債務の第一線の研究者が多く集うIMFで、彼らと共同研究・研究の意見交換を行い、最先端の研究に貢献したい点です。
現在の業務、これまでの経験
2020年3月の新型コロナ危機以降、戦略・政策・審査局(Strategy Policy Review)で主に4つの仕事に取り組んでいます。一つ目はG20の債務支払猶予イニシアティブと債務処理のための共通枠組み(Debt Service Suspension Initiative and Common Framework)にIMFの担当者として携わること。二つ目は債務危機において、(i)民間投資家に対する国の債務危機解決における国際金融システム、(ii)国の対内債務(Domestic sovereign debt)の再編成、(iii) 債務・債務支払削減(Debt and debt service reduction)におけるIMF 資金援助の3つの政策提言(IMF Board Paper)。三つ目は、南米のスリナムにおけるIMF プログラムと債務再編成を担当し、IMFプログラムと債務再編成の構築・実行を政策当局と共同で行うこと。四つ目は、現在、債務危機の国を抱えている地域局(Area Departments)からの債務再編成・債務危機に関する緊急要望・依頼に担当者として対応することです。
2010年9月にIMFに就職してから、アフリカ局(African Department)、戦略・政策・審査局、調査局(Research Department)、そして現在の戦略・政策・審査局と複数の局で仕事をして様々な国を担当してきました。主に「IMF エコノミスト・実務家(Generalist・Practitioner)」、「債務・債務再編成の専門家(Expert・Specialist)」、「研究者(Researcher)」、の三つのキャリアを均等に、両立できるように仕事をしてきました。
学生の皆さんへのメッセージ
IMFでは、世界各国から色々な分野の専門家が仕事をしています。エコノミストの仕事は、地域局と機能局(Functional Departments)で求められる技能はそれぞれ異なりますが、様々な局を経験することが奨励され、複数の上司・同僚と共同で仕事をする機会に恵まれます。各々の専門を生かし、第一線の政策提言、実務、研究に関わることが出来る為、独自のキャリアを構築できるという点でも魅力的な職場です。マクロ・国際金融・金融などの専門分野の方で、国際機関で働くことを希望している方は是非、応募してみてください。
参考になる記事
日本がIMFに貢献してきたこととは
日本は1990年に国際通貨基金(IMF)の能力開発を支援する初のパートナー国となり、IMFの能力開発プロジェクトやアジア太平洋地域事務所(OAP)の活動支援、また、「日本-IMFアジア奨学金プログ ラム」と「博士号取得の…
READ MORE >>過去の受給者達が選んだ留学先の大学
今までに150名以上の日本国籍の方がIMFエコノミストを目指すために、Japan-IMF奨学金受給者となって海外の大学へ留学をしています。彼らが自ら海外留学先として選んだ国と大学をご覧ください。 アメリカではカリフォルニ…
READ MORE >>Japan-IMF奨学金申し込み応募にあたって知っておくべきこと
「Japan-IMF奨学金 無料オンライン INFO SESSION 2024 のお知らせ」 Japan-IMF奨学金について質問はございませんか?当奨学金についての「INFO SESSION 2024」を、10月5日 …
READ MORE >>